2007年04月16日、日本台湾医師連合が自民党の中川昭一元政調会長をお招き、会が発足6周年の記念として講演を行えました。李登輝前総統の訪日問題や、蒋介石時代に台湾と日本の歴史的関係の意義を述べ、安倍前首相が説いているように台湾と日本は「価値観の共有できる」ことを強調、同時に中国外交と軍備増強にも言及する主旨の発言をされました。

                            文責 日本台湾医師連合会

 

皆様こんにちは、中川でございます。今日は日本台湾医師連合の総会が、先ほどあったという事と、日曜日の夕方でございますので何かとお忙しい中を、よりによって私の話を又、しばらく聞かなければならないという苦痛を味合わせて申し訳なく思っております。これも偏に丘会長先生そして、私にとりましては80%優しい20%恐い金美齢先生の命令で、何があっても行かなければいけないと、ただし、皆様方には、はたして迷惑か、どうかということでございます。代表処の許代表閣下もお目見えでございます。
私事を言わせていただきますが、金美齢先生から最初の出会いの話がありましたが、私も覚えております。ただ後日談がございまして、その後に西村真吾先生のパーティーがありまして私がちょっと遅れて行きましたが、会場に入ろうかと思った時に、ちょうと金美齢先生が“いかに西村慎吾先生が素晴らしいかことをやっていまして、それに比べて自民党は「なんだ」”と挨拶していまた。これじゃ雰囲気が悪いな、帰ろうかと思ったのですけど、私にとっては冷や汗の出る中を恐る恐る入ってまいりましたら、金先生が私の顔を見て、“中川先生とか何人かは別だ”と言っていただきました事を今思い出している訳でございます。
又、先ほどの“慶応大学の純粋な学生達が李登輝先生の話を聞きたい”と言う話しもありましたが、これは、政治も何も関係の無い学生さんが毎年一回の学園祭で色んな人達の話を聞いたい、李登輝先生の話を聞いたいという思いがあったでしょう。しかし、この李登輝先生の話を聞きたいという学生の希望を阻止する政府の幹部が居る。当時、安倍晋三さんは官房副長官だったと思いますが、安倍さんと私でやったのですが、われわれより偉い人が居て、小泉総理大臣ではありませんが、この偉い人が阻止して又、外務省も右往左往して事勿れ主義で厄介なことだから止めようと言う事になった訳でございます。これはまさに日本にとって李登輝先生も、さることながら純粋な日本を背負う世界に貢献するであろう慶応大学の純粋な学生達が大変にショックで、この傷は多分今後の彼らが社会人として、又、人間・父親・夫としての人生に大きな影響を及ぼすのではないかと、私は今でも大変残念でなりません。李登輝先生には個人的な話になりますが、下の息子が生まれた時に台湾に行きまして李登輝先生に、書を書いていただきました。息子宛に台湾風、中国風で赤色の紙に墨痕鮮やかにいかにも李登輝先生らしく几帳面に息子の為に字を書いていただき、何時でも、私の家の和室で飾った宝物でございます。

 

皆さんには決して良い話ではないかも知れませんが、日本にとって今日あるのは、はっきり言って蒋介石総統のお蔭でございます。そして又、国民党政権が日本の事を思い、当時の日本がソ連に半分を取られたり、ドイツのように引き裂かれたり、天皇陛下が殺されたりすることは、我々にとっては絶えがたい事ですから、それを救ってくれたのが当時の中華民国、今の台湾に当たる訳であります。これに日本人に決して忘れていません。その恩は、民進党であろうか、今の台湾の皆さんであろうか、その流れは今の台湾が受け継がれているのです。国民党の恩じゃないと考えた方も居ると思いますが、政治的な立場が違っても、日本の今日あるのは台湾の皆様方のお蔭と感謝を申し上げておきたい。私は父親から、ずっとそういうことを聞かされておりました。そういったことがなければ今頃北海道は、ソ連の領土になり、北方領土の沿線上になっていたわけでございます。
そう言った関係がありましたので、父親が台湾にも良く行きまして多くの友人ができ、今でもその友人の息子さんたちと私がお付き合いをさせていただいております。私が政治家になって、初めて外国に行ったのが台湾で石原慎太郎派でございまして、家族を連れで研修旅行に行ったのは1984年9月でございました。政治家として初めて行くところでございますが、ある意味では非常に楽しかったし、又、本当に台湾の皆さんが頑張っておられる、むしろ李登輝閣下だけではなく一般の人達も含めまして頑張っている。ある本(=愛する日本の孫たちへ)では日本人はもっと胸を張りなさいと言う名著もございますが、まさしく台湾の皆様のほうが、日本の同世代の我々よりも遥かに素晴らしいものをお持ちだな、国は発展しておられるという印象でした。
たまたま今朝、私が民放の番組2つに出ていましたので、その話から始めさせて頂きます。数日前に大陸の方から、温家宝首相が来られたのでございます。会場にマスコミの方が居るので言葉を選んで上品に申し上げまして、温家宝首相が来るのは当たり前なのです。安倍総理が就任直後、10月3日、4日に真っ先に行ったのが中国と韓国でありますので、来るのが当然です。隣国ですから、例えばドイツとフランスは60年前に大変な戦争をやった国だが、今や2つの国が一緒にしようかと言う位、密接な繋がりがあります。両国の閣議にお互いの閣僚が出席し合っている。今やドイツとフランスは一体融合でやっている訳でございます。
中国と日本の関係は、氷だったか氷河だったか知らないが、安倍さんは決断をもって行ったわけですから、それによって氷が細かくなったとか、今度は向こうからお返しに来るはずです。去年の10月から6ゲ月が経って日本に来るのが当たり前なことです。もっと言えば、日本の政治的トップは内閣総理大臣で、向こうの政治的トップは胡錦涛国家主席で、軍事委員会主席なのです。外交儀礼から言えば同じレベルの人が来なければいけないのに、残念ながら同じ首相の肩書きであっても日本に来た温家宝首相は国内序列から言うとNo.3だそうでございます。日本のNO1が行ったのに、No3が来るとは、私は外交儀礼上から見ればおかしいと、私はいつも王毅さんに言いました。そして向こうは又、安倍さんに来てくれと言っていって、いったい安倍さんのカンターパートは何時来るかと、私はこれは外交上に極めて非常識なことであり、あえて言えば中華思想的なものですから、これはまだ昔のようで、日本の誰かさんが向こうに行って“朝貢”して、なにかをお墨付きを貰って帰ってくるような感覚を持っているじゃないかと思いたくなります。これは外交上に極めて珍しい出来事だと思っているわけで、私はいろんなところで言いました。温家宝首相は多分、日本では官房長官のような者だと私は思っています。それなら、今度は塩崎官房長官か同じレベルの人を行かせるのが外交の常識だと思っている。
温家宝首相が国会で演説の後に、私は色々なところでインタビューを受けました。「あの演説の内容は、どうでしたか?」ということを聞かれました。私は、“まるで実務的な交渉のようなお話でしたね”と申し上げました。温家宝首相は、確かに今までの円借款は感謝するとか、日本も頑張っているとか、なかなか良いことを言っている部分もありましたが、それ以外にも温家宝首相は日本に対して「けしからん!」「こうしろ!」「こうしてはいけない!」と随分言っている。絶対にやってはいけないのは靖国と台湾問題に口出しをするなと何回も何回も言っている。それに環境、省エネルギー、知的財産の保護をやるから日本はもっと協力をしろと言っている。
環境、省エネルギー、知的財産の保護等の問題は、向こうがやってやる!じゃなくて、やらなくてはいけないことです。世界中が迷惑しているから、台湾も迷惑しているし、日本も非常に迷惑しています。例えば、この季節になると中国の奥地から黄色い砂が日本中にやって来て、これは木を切りすぎで土が砂漠になってしまった影響でしょう。サハラ砂漠だって昔は木が沢山あったそうで、今は砂漠化とした、レバノンの方も昔はレバノン杉という素晴らしい杉があって、それを利用したフェニキア人達は経済的にあの地中海沿岸を支配していたが、杉の木を切りっぱなしで今は砂漠状態となり、やがて中国でもダメージがひどく効いてくるだろう。

 

エネルギーについて確かに経済発展しているし、人口も国土も大きい国ですから、しかも年率10数%で成長している国ですからエネルギーは必要でしょう。あの国は石炭があるし、色々な資源も取れますが、なんと言ってもエネルギー利用の効率が極めて悪いのです。IEAEという国際エネルギー機関のデーターによると、日本が世界で一番エネルギー利用の効率が良い国です。2度のオイルショックという危機を乗り切った日本でありますから、極めてクリーンであり、効率が良いです。IEAEの統計によると、日本のエネルギー利用の効率を1とするとヨーロッパは2、アメリカは3、中国は10が必要になってくる、づまり一つのエネルギーを算出するために投入するエネルギーは日本の10倍になってくる。中国を日本並みにすれば、とは言わないが、半分にしてくれれば中国にもプラスになる。今、世界中で石油の価格が1バレル70ドル近く上がっていますが、中国がエネルギー利用の効率を半分までにあげれば、石油の価格は30ドル20ドルになって来て、エネルギーを輸入国にとってもプラスになるのです。
知的財産権について中国政府は、これは民間が勝手にどんどんやっていて、困っていると言い訳しています。しかし温首相が国会演説の中で、私は思わずビックリしまして、“中国という国は民を大事にする国だ”と言う。どういう意味かな?中国に民意はあるのかな?あるのだったら、とっくに国がバラバラになってもいいのではなないか?と思う。そういう知的財産問題に絡んで、今沿岸の一部の金持ち連中が、経済的に活動しておりますから、その中、2年前まで私は産業大臣をやっていた頃、よく中国のカンターパート閣僚と知的財産権について話し合いまして、「あるアメリカのデーターで中国のGDPの7%は世界中から盗んできた盗賊版、模倣品などでなっているとデーターを出して、例を挙げました。例えば日本では世界に冠たるHONDAのオートバイが“H”をとってONDAになって走っている。ボールペンから自動車にいたるまで、アメリカやヨーロッパや台湾の素晴らしい製品は中国で盗賊版、模倣品となっています。模倣品は中国だけが作ったではないが、中国が一番酷いですから直してほしい」と中国に強く言って、私が指摘しました。中国側からは、こういった問題は直すから援助してくれと開き直った。直すのは当たり前、これは我々の大事な技術なので、欲しかったら特許料を払って、そして買いなさいと、こっちは売ってあげますよ。日本は困っているから、世界中のほかの国も困っている。今や世界第4位の経済大国になっているのだから、沿岸部の金持ちは日本の金持ちよりもはるかに居るだから、どうぞ定価で買ってくださいと、これはビジネスだと、産業大臣を務めた私が中国共産党の方に何度も話しました。それでも先方が日本の経験を教えてくださいと言われたので、私は環境と省エネルギー2種類のレポートを経済産業省の研究センターとみずほ銀行中央研究所の2箇所で作らせ、合計4冊渡しまして、向こうの担当大臣は大変喜んでいただいた。そのレポートは中国の中央まで上げまして、そうすると、これは非常にいいものですから是非実践して行きたいと言う返事が来ました。
暫くしたら、中国側からはもう一つのお願いがあると言って来ました。今の中国は、日本の昭和30年代のようで高度成長時代にあるですが、何故日本は高度成長時代に農村と都市、大企業と中小企業の格差が縮まって、皆がほとんど平等になったかを知りたいと言って来ました。今、日本では格差が少しづつ広がっているのかもしれませんけれども、世界的に比べれば、格差はそんなに大きいものではない、しかも高度成長時代に格差が縮まった。そこを学ばせてもらいたいと、中国には格差問題がいっぱいあって都市と農村、沿岸部と内陸貧富の差も日本や台湾よりもはるかに大きい、それを是正する為にレポートを送ってもらいたいと頼まれた。良く考えたら、あの国は共産主義国家じゃないですか、皆平等というのが前提で、日本は帝国主義とが資本主義国家とが言われていたのに、資本主義の日本は、なぜ格差是正のため、共産主義の国家に教えなければならないのかと思いました。しかし私もそのレポートも差し上げました。これもまた大変喜んでいただけたわけであります。

 

30年か40年前のことですが、毛沢東の時代の中国は、アメリカは帝国主義の張子の虎であり、ソ連も邪悪の共産主義国家であると批判しまして、両方とも許せない、それにしがみ付く日本もけしからんと言っていました。しかし今や、中国が東アジアに対して大変な脅威を与えている。軍、核によってまわりの国々や世界中を脅かし宥めすかしたりしながら発展して行く。まさに今の中国こそ、覇道の世界をまっしぐらにして行っているのではないか。去年の防衛費の伸び率は18%、そして17年連続して2ケタの成長でありまして、公式に発表したデーターだけでも日本の軍事費を追い抜いた。大きい国だから百歩譲ってもやむを得ないかもしれない。しかし中国が公表されていた軍事費は実際の3分の1に過ぎないといわれている。これもまだ核兵器や戦略兵器、潜水艦は入っていません、研究開発費も入っていない、武器の輸入も入っていない。これは私が言っているのではなく、世界で一番軍事に詳しいイギリスのジェンス年鑑の発表したものであります。したがって今は、4兆5千億位の日本円で、アメリカの次に第二位のロシアとほぼ横に並ぶくらい実質世界第二位となります。どうして17%の成長をしていかなければならないのか、私はいつも中国の人に言うですが、中国を攻めていく国がありますか?昔、台湾は大陸反攻なんて言っていましたが、独立のことは皆さんが目指しておいででしょうが、中国をこれから攻め込もうと思っていますか?
私は中国が何のために急激に軍事費を増強し、中身を充実させているのか、何を意味しているのか、まさにこれは台湾を解放してそして又、朝鮮半島を統一して自分の勢力下に置き、そして台湾が自分のものになり、チベットが騒がないようにし、モンゴルもおとなしくさせ、次は日本なんですよ、と思います。何故かと言うと、中国から見ると日本は非常に邪魔な存在なんです。バリケードのように細長く、しかも引越しが出来ませんから、引越しが出来ない以上頂いてしまうしかないですね、幸い日本はまだ技術力がありますし人材も優秀ですし、いただける物、美味しい物はいっぱいあるわけです。何よりも太平洋に出て行ける。沖縄、津軽海峡を全部頂きと言うことになりましたら、まさに海洋国家中華人民共和国ということを着々と狙っている。中国は第一列島線、第二列島線或いは台湾は自分の物という法律も90年代作っているわけであります。着々と皆様の国、そして次は日本を狙っている。日本だって中国に攻められたら、もちろん自衛権を発動いたします。
しかし、どう考えても13億の人口、しかもあと10年もすれば経済力は日本を上回って大きくなり、軍事費もはるかに質、量とも大きくなる、1対1で喧嘩したら勝てません。日本の中には一部変なマスコミもあります、日中友好で中国ともっと仲良くし、横浜、舞鶴、佐世保ぐらい中国に貸しあげていいじゃないかと、或いは嘉手納基地もあるいは横田基地も中国空軍に貸してあげたらいいじゃないかと考えているマスコミはある。だから、日本はいざやるぞと言っても国内が大変です。今日もテレビで日本には主権在民がないと発言した社民党の人が居て、さすかの亀井静香さんも我慢できなくて彼女に向かって、中国と日本はどっちが民主主義だと言ったら、黙ってしまった。番組の間のコマーシャル時間に北朝鮮と日本のどっちが民主主義って聞いたら、それも黙ってしまった。日本の民主主義は北朝鮮以下だと、その女性議員は思っているのか、これはビックリしました。その後、私の担当の新聞記者10数名と懇談したが、彼らもビックリ、さすがの朝日新聞もビックリしましたね。「俺達の存在を否定しちゃうよね」という言い方ですね。日本の民主主義は彼ら大テレビ、大新聞が支えていると自負していますから、この民主主義を「ない」と否定されたですから、これはマスコミにとっても「それはないよね」と朝日さんが怒ったという意味では、あの女性議員がいい発言をしてくれたのかなと思ったのであります。
今日はテレビで温家宝さんの訪日の成果について氷が溶けたかどうかという討論に、王毅大使は溶けたとしても水はまだ冷たいと言っておりました。私は氷が溶けたら春になると思う。水になると味気ないと、氷の点をとると(水)言って中国側が来た訳ですから、溶くのは中国側だと、向こうの温家宝首相はそう言って日本に来た訳です。確かに楽しかったと思いますよね、天皇陛下に謁見し、国会でご自由な演説をされ、それから周恩来の馴染みの京都に行った、しかも学生時代以来50年ぶりの野球までやった。成果について、大陸国内からも、そう批判されないであろう訪日だったと、ほっとしていると思います。

 

丘会長から、お話がありました一昨年の愛・地球博のことについては、諸外国から来たお客さんの中に、台湾の方が一番多く来ているし、北海道の雪祭りでもそうだし、ここに数字がありますけれども、日本から台湾へ116万人、台湾から日本へは135万人が行き来している。私の地元の帯広にもチャーター便で何万人という台湾の方が行っている。ですから帯広空港には日本語、英語、台湾語、韓国語で案内が書かれている。愛・地球博に台湾から来た方は、確かに日本館も見たい、フランス館も見たいアメリカ館も見たい、でも自分のところは何もないと思うでしょう。万博は政治の問題ではないですから是非、来させなければ駄目だと私は頑張った。日本の外務省がかなり抵抗したけれども経済産業省が頑張ってくれまして、やることになりました。決して我々の事情で立派なものは出来ませんでしたけれども、台湾の施設を作ることが出来ました。私は万博には数10回行きましたけれども、一度だけ最後に時間がありまして、30分だけ台湾のパビリオンに行きました。しかし時間が無く、隈なく見られませんでしたが、台湾の美味しい料理をレストランで食べて東京に戻りました。あの時にも儀典でビザなしと、麻生さん、平沼さん達が頑張ってやった訳であります。先ほど会長さんの姪子さんが大変喜んで頂いたと話を聞くと、非常に嬉しく思っております。一番喜んだのは日本人でありますが、外国の人達で一番喜んだのは、私は台湾の方だと思っております。
私がやった成果で自慢出来るのは、AED緊急救命心臓装置をぜひ付けたらいいじゃないかとお医者さんの友たち言われて、会場につけました。あの夏の暑い時期に心臓発作で倒れた人は何人が居りまして、そのAEDで元気になられた。本来ならば亡くなっていたかも知れない二人の命を救うことが出来た。こらが万博担当大臣の一番の自慢でありまして、2番目は皆さんのお蔭で台湾の人が沢山来てくれたということが自慢できたと、この場を借りて御礼お申し上げておきたいと思います。
先ほど台湾関係法のお話が出て来ましたが、アメリカの国会議員が台湾を大事にしようと考え、国交非正常化の後に台湾関係法を作ることになりました。アメリカの国内法は世界的に効果が強いです。その典型の例は北朝鮮に対する金融制裁です。マカオにあるデルタアジア銀行というところが北朝鮮の汚い金をロンダリングしているのではないか?という疑惑がもたれた時、バンコデルタに対して立ち入りました。別に国際法ではないですが、アメリカの国内法に基づいて不透明なものについてはアメリカの銀行は取引をしないよ、と宣言した途端に世界中の銀行はバンコデルタとの取引を止めた。したがってこのままでいくと破産状態になります。しかもバンコデルタと中国銀行とは物凄く仲が良いから、中国の銀行はびびったですね。今般、アメリカは銀行取引禁止の命令を解除したけれどまだ不透明な部分がある。大体解ったからいいよ、と言っても、中国銀行はいやまたバンコデルタとの付き合いは出来ないと言った、なぜならアメリカが完全に白とは言っていないから、灰色の部分があると言っている以上、下手をすると中国銀行がアメリカの銀行、つまり世界の銀行と取引出来ないと言うことで、ヒル国務次官補と武大偉との間で、もう大丈夫だよ、いやいやもう少し調べて下さいとお互いに押し合いをやっている状況です。
そういう意味で台湾関係法というのは非常に中国に対しても或いは世界に対しても効果のあるものであります。中国は本当に世界中で激しく行動しております。日本は原油をアフリカとか南米で確保したいと言っても多くの場合中国に取られてしまいます。なぜならアフリカはLDC(後発発展途上国)ですから、お金も欲しいが、もっと欲しいのが兵器です。中国はお金もあげるし兵器もあげるよと、日本はそれが出来ません、アメリカに対してもピストル一丁売ることさえ出来ないであります。よほどの手続きが無い限り武器を輸出することが出来ません。それは、日本はまじめ過ぎるぐらいの武器輸出三原則という法律があって、これが国益になるのかというくらいの問題がある。ですから、これから日本はどうやっていいのか考えるところです。そういった問題を台湾も同じだろうと思いますが、なりふり構わず資源外交をする中国はやっているなら、日本だって、なりふり構わずやらなきゃ駄目なんだ。日本は小さな民間の石油会社や商社が行っていますが、中国の会社は政府と一緒に行ってお金も日本の会社よりいっぱい払います、武器もいっぱい付けます、その他いろんなパーツもおまけに付け、極めつけは人間まで付けます。人間というのは向こうでは政府のアドバイザーであります。嘘か本当か知りませんが、私の友人である東南アジアの国の外務大臣が言っておりましたが、ガボンという国の外務大臣は中国人だそうです。これにはビックリしたけれど、それくらいに日本もなりふり構わずやらなきゃ駄目なんだ。
東シナ海の石油問題について、1997年に平江というところから石油を大陸に送り始めた。しかも日本のお金と日本のパイプで送っていて、日本では何の問題にもならず、もちろん私も知らなかった。しかし知っていた人も居るわけで、当時の輸出入銀行とか外務省とか知っていたけど、誰も何も言わなかった。商売だからいいじゃないのというのです。でも良く考えましたら、あそこだって係争水域でしょう。今の春暁だの天、外天だの北京語で言うのは嫌なので、あそこは樫とか楠の木とか日本名が元々あるのです。ここは中間線がまたがっているのは間違えないです。私のときに物理捜査船で三次元調査をやって、構造上が繋がっていると解っているから、どうしてそこを「線の向こうで水を吸っても、こっちの水も減るだろう」と言ったら、向こうの国家発展委員会の副主任が怒られて出て行きましたけれども、こういうことを中国の立場だったら、中国はやってくるのです。これは中国の国益ですから。日本は日本の国益としてそれに対抗しなければ駄目なんです。
中国は厚かましいからいろんなことをやったが、日本人は大人しいと言うか馬鹿というか、日本政府は何もやってこなかった。だから今、私が中国に対して文句を言いますけとも、同時に日本政府の事務方に対しても、お前たちは何をやって来たのかと言いました。それから、私が調査の許可を与えのは一昨年の秋ですが、その会社は何も動けなかった。何かをしようとすると中国側は自分の国益が損害されると思い、日本の外務省に対して李登輝さん来る時と同じのようにチクチク言って来た。船が出て行けば又、物理的に嫌がらせしてきます、船を守る法律が日本には無い。やっと最近、心ある国会議員の石破君であるとか、民主党の前原君であるとか、政調会長の松本君であるとか超党派で、自民党と民主等が中心になり、もちろん与党の公明党も一緒になって議員立法で海洋構築物に対して500メートル以内に入って来た船に日本の海上保安庁が排除のために出動して行くという法律になります。尖閣が出てきた場合にはもちろん良くないですから、是非台湾とは話し合いで解決をしたい。こんな法律が発動されるのは、私は台湾に限っては御免こうむります。
海中調査をやる時は必ず海上でやるですから、当然漁業関係者との関係が出てくる、試掘するのに此処で穴を掘っていいですかと、まず漁業者にお伺いをたてる、これは国内的な手続きです。これを外交的に日本が外国に配慮する必要はない、しかし国内で漁業関係者と予備交渉することすら、実は日本政府はイエスと言っていない。これは国内問題多と私は思います、さっきテレビで王毅大使とやっておりましたけれども、王毅大使は国内問題ですから内政干渉はしませんよ、と言ってですね、靖国は内政問題じゃないのかなと言いたくなる。内政干渉はしないとか言いながらも試掘問題については漁業関係者と民間の石油会社が会うことすら実質出来ない状態が2年近く続いている。日本には本当に主権があるのか、もっと自信を持てと言うあの本(=愛する日本の孫たちへ)を改めて我々は読まなければいけない、日本の役人に読ませなければならない。新渡戸稲造、八田與一、後藤新平、その他、台湾の人にも思い出深く頂いている人たちのことを思い出して、良く先輩たちは迷ったときには歴史を勉強しろよと、まさに日本人は自信が喪失しました。

 

今日も朝日新聞に戦争当時日本が台湾にいかに、ひどい事をやったという特集をやっています。「そうじゃないよ」と100%私は否定しませんけれども、あの記事はもともと意図があって特集を組んでいる訳でありますから、台湾の先住民の方、日本語で言うと高砂族の方々或いは台湾の皆様には大変ご苦労、ご迷惑をかけた事は事実であります。今日も、私はテレビで言いましてよ、中国を侵略した事は間違いない、そのことは私だって認めて謝罪をする。それは、客観的としての事実です。歴史というものは政治家が決めるものではない、政治家が決めたらろくなことはない、ヒットラーを見てもそうです。全ての歴史は政治家が決めたら、その国は破滅するか、或いはどこかの国が破滅させられるか、どちらにしても悲劇になる。歴史を決めるのは学者や専門家たちが専門的に客観的に決めてそれを私たちが前提として、ものをどう考えていくと、これは私の基本的な歴史認識であります。政治家の歴史認識は、もちろん日本が勝てば嬉しいし、負ければ悔しいが、だからと言って右のものを左と言う資格はありません。歴史と言うものはあくまでも学者さんや専門家の方たちが客観的、専門的決めて、それが学会で多数決になったときに、初めて歴史という物が事実として、学問として確立するものだと私は思っている。いや、それをあぁでもない、こうでもないと、喧々諤々と学者がお互いにやっているものについては、政治家や行政が断定的に決め付けるべきでないと私は思います。例えば教科書は典型的な例で、議論が分かれている物をこうだと決め付けていけない、まして教科書などは子供たちのために教え込むものなので、こうすることはあってはならないと私は思います。

 

最後に私は台湾のWTO加盟の時にも皆様方に、よく情報交換させていただきました。ウルグアイランドの最後の時、あるいは台湾がWTOに入る時に、米の交渉でアメリカと大変ご苦労されたと台湾の方から聞きました。我々と今もWTOの場でジュネーブでしょっちゅう日本の大使と台湾の代表の方と連絡を取り合い、又、農業に関してはG-10グループという中で韓国がアメリカとFTAを結んでしまったものですから、今後G-10グループの中で機能出来るかどうか、極めて不透明で注意深く見ておかなければならない。実はG-10グループの中で経済的には日本が75%持っている、その次で台湾なんです。ですから、これから益々、日本と台湾とはWTOの交渉の中で農業は守り、そして工業は攻めるという我々の国益を守る為に日、台の融合・連携がWTO交渉上極めて有益になってくる訳であります。APECも同じだと思います。

 

問題は先生方に非常に関係のあるWHOであります。これは我々も儀典としても又、党としても政府としも加入については今までも応援をしてまいりました。アメリカと同じように残念ながら我々の応援というのは技術的な問題に関する応援とオブザーバーに関する応援でありましたけれども、最近台湾は、国として加入したいと、台湾政府か総統閣下が意見表明された。これはなかなか厳しくで、むしろ逆効果になるかもしれません。アメリカも日本も非常に困惑しております。是非入っていただきたい。2,3年前に許代表が良く漁業問題で私のところに来てまぐろの過剰問題で話し合いで、その時私も台湾がぜひWHOに入ってくださいと、オブザーバー参加するように私も努力しました。オブザーバーに入ったら情報も同じようにとれるし又、発言も出来ますし、もちろんオブザーバーと正式メンバーとは同じとは言えませんけど、まず、オブザーバーで入ることが第一歩だと思います。今までオブザーバー参加でもなかなか厳しかったものが、ここに来ていきなり正式な国として加盟したいと言われると少なくとも日本政府は支援ができない、これはアメリカも同じです。昨日、アメリカの大使館の人と話したのですけど困ったなと向こうは言う。今まで一生懸命台湾がWHOに入ってもらえるように我々努力したし、アメリカは確か議会決議までやっていると思いますが、これをやられると困ってしまう。もちろん国内のご事情もありますから、これ以上言うとそれこそ内政干渉になりますから申し上げられませんが、外に対して、そういう表明をされたということは我々にとって今、非常に困惑というか残念というかそういう状況だということを私は儀典のメンバーとして、あるいは党の政策責任者として申し上げておかなければいけない大変残念な事だと思っています。
台湾新幹線についてもヨーロッパ仕様が決まりそうになった時、私も台湾へ飛んでいて、当時の李登輝総統閣下に1対1でお願いをしたり、話しを聞くとあの時の日本政府の対応に色々と問題があったのも事実でありました。しかし、なんとかかんとか遅れましたが、無事今年340キロメートル開通したということです。新幹線というのはシステムでありますから是非システムがうまく作動することによって、日本のように事故が無く、地震やいろんな災害があっても人的被害が出ないというような運行をしていただきたい。私も近いうちに家族連れて、もう20回くらい行っているのですが、ほとんど台北しか知らないので、台湾新幹線に乗って南の違う景色のところへ女房と二人でゆっくり台湾に行って古い友人達と又、新しい出逢いを楽しみたい。ある意味日本よりも日本らしい国だし、一番に日本のことを、どんな時でも考えて頂いているお隣の台湾との関係を益々深めていくよう私なりに努力をしていきたいし、また同じ考えを持つ日本の国会議員や経済会の人達にもいっぱい居るわけであります。そういう関係は大事だと言っている。

 

最後に、安倍総理の外交方針は価値観を共有できる国との関係を強化しようということであります。価値観の共有とは何か、民主主義、自由主義、法冶国家、言論の自由、この4つであります。総理が公式の場で言っているのは、アメリカ、オーストラリア、アセアン、インド、それから選挙がありますと言う意味で中東そしてヨーロッパは当然その間に居る。我々の隣りの国は、価値観は共有出来ない、いくら温首相が民を大事にすると言っても我々はそういった価値観は共有出来ない。そして台湾は日本とまったく同じ、国会乱闘こそ日本は卒業しましたけれど、それを除けばまったく国会も同じ、自由主義であり、言論の自由もあります。多分、安倍総理も言葉を選んでいるのでしょうが、日本の周りで一番の価値観の共有が出来るのは台湾であると私は、総理がはっきりと認識されていると思いますので、まさに我々の子や孫の世代まで、この関係を太くこそすれ、決して細かく跡切らすことなく、我々は頑張っていきたいので、日本で活躍している台湾出身の先生方の役割も大きいと思います。又、協力して頑張っていきたいと思います。以上で終わります。ありがとうございました。